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~Ⅰ~ Beautiful eyes

Posted by Mi on 19.2013 ガブドレ   0 comments   0 trackback
ガブドレ話です。




【~Ⅰ~ Beautiful eys】


「本当に、お送りしなくてよろしいのでございますか。」
 心配そうにそう言う執事に、うんざり、という顔を作る。
「いいって言っているでしょう。」
「しかし、新民街はここと比べて治安が悪うございます。」
「そのことは、お父様と話しが済んでいるわ。」
「存じておりますが…」
「毎日送り迎えなんてされたら、みんなの笑いもの!」
「ならばせめて、公共のエアタクシーではなく、自家用のエアハイヤーをお使いになられたらいかがですか。アカデミーのエアポートに乗り付けるのがお厭でしたら、新民街のエアポートまでお送りさせます。」
「しつこい。」
 私が物心ついたころから働いているアラン、という名の執事は私の言葉に渋々、といった様子で口を閉じた。
 折しもちょうど屋敷の門に辿りついたところだった。
 魔法錠を開錠して、彼を振り返る。
「じゃあ、行ってくるわね。」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」
 慇懃な礼をする彼に背を向けて、私はスキップしたいような気分で道を歩く。
 こんな風に政民街を歩くのすら珍しいことだった。
 それが、今日からは新民街ですら自由に歩けるのだ!
 アカデミー入学を許してくれた父にキスでもしたい気分だ。

 政民街と新民街を結ぶエアタクシーにブラックフェザーを見せながら乗り込むと、運転手はわざとらしいほど丁寧に振る舞った。
 本当は、ブラックフェザーではなくてホワイトリーフで乗りたいのだが、政民の身分証明書としてこれを持ち歩かなくてはいけない以上、そんなことが許されるわけはなかった。
 贅沢は言えない。新民街を自由に歩ける許可を得ただけで僥倖なのだから。

 初めて一人で歩く新民街は、私にとっては全てが物珍しかった。
 きょろきょろしたいのを我慢して、なるべく前だけを向いているように見せかける努力をする。
 お上りさん、実はお下りさんなのだが、だと思われたらどんな厄介ごとに巻き込まれるかわかったものではない。ひとたびそんなことがあったら、いくらものわかりのいい父でも二度と単独での通学を許可してはくれないだろう。
 そんなことを思いながら、アカデミーの入口に到着する。
 ここで三年間を過ごすのだ。
 そう思うと自然と身が引き締まり、大きく深呼吸をしてから私は入り口の扉に手をかけた。

 扉は簡単に開くはずだった。
 それなのに、びくともしない。
 引き戸だと思ったから、横にスライドしてみたのに…もしやと思い押したり引いたりしても全く動く気配がない。
 なぜだろう。何が悪いのだろう。
 何度試してもどうにもならず、焦る気持ちばかり強くなっていく。
 政民の私には、新民街での生活など所詮無理だと、この扉さえ言うのか。
 そんな後ろ向きなことを考え始めた時だった。
 背後から低い声が聞こえた。
「IDカードはどうした。」
 驚いて振り返って、私は目を奪われた。
 長身で細身だが服の上からでもわかるほど鍛えられた体の上に端正な顔が載っている。
 そして、アルケイディア人にはめったに見られない金の髪に、青く澄んだ瞳をしていた。
「忘れたのか?」
 私の沈黙を、彼は別の意味にとったようだった。
「学生証と一体になっているヤツだ。」
 なんて美しい瞳なんだろう。
「あ、いえ。持っています。」
 雲一つない青空と同じ色だ。
「持っているならば…」
 彼は眉を寄せて困惑した表情を浮かべながら、すまない、と言いながら私と扉の間に体を入れた。
 偶然に、私の右手が彼の肩に触れ、私は慌ててそれを引っ込める。
 今の、痺れたような感触は一体なんだ。
 呆然と立ちすくむ私に一瞥もくれず、彼は手に持った学生証を扉についているスリットに通す。
 と、扉がスライドして開いた。
 なるほど、こうやって開けるのか。
 政民街では、そこに入るまでのセキュリティーがしっかりしているため、公共の施設にこのようなセキュリティーがかかっていることはない。
 自宅に魔法錠をかけたり、結界を張ったりするのは別の心配からだ。すなわち、政民同士の妬み合いによる陰謀や悪意を阻止するためだ。
 そんなことを考えていると、彼はさっさと建物内に入ってしまっていた。
 扉も閉まりかかっており、慌てて中に入る。
 廊下の先を行く彼を呼び止めようか迷っているうちにその背中は角を曲がり、見えなくなった。
 どこの学部だろうか。名は、なんというのだろうか。
 そんなことを考えたことに気付き、頭を振る。
 そんなことを考えてどうする。私にはそんな暇はないはずだ。






ガブの瞳って、ブルーグレイですよね?バッシュと同じでいいのよね?
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